2016/10/02 李彩霞 来日20周年二胡リサイタル

中国・内モンゴル出身。
20年前に来日し金沢大学に留学。それ以来、金沢を拠点に二胡の演奏・普及活動を続けておられる二胡奏者『李彩霞(リ・サイカ)』さんの、石川県立音楽堂コンサートホールでのリサイタル。

…というようなことは、このコンサートに出掛ける1,2日前にやっと知ったクチなのですが。

二胡とチェロ、シンセサイザー、ピアノの共演。
ほとんど知らない二胡という楽器の響きと、その他の楽器たちによるアンサンブルが醸し出すハーモニーとは一体…???

公演日からほんの1週間ほど前くらいに知人から情報をいただいてから少し考えてみて、3,4晩寝て起きた後でも…とにかく触れてみたい!やっぱり聴きたい!

そういう思いが消えなかったのでチケットを購入。友人にもお知らせしました。

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現地に入り、全席自由のホール内で、敢えて2階席に陣取って、上着を脱いで荷物を置いて…なんてやってるときに、見つけられてしまいました。知人に!その場で10分ばかりあいさつと会話を交わして、その後はご自分の席に戻られていきました。

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さて本編。
第一部8曲。第二部9曲。アンコールを2曲。
小編成のアンサンブルなのでこぢんまりとしたコンパクトなコンサートになろうという予想を覆す、とても濃密な2時間半。

李彩霞さんの二胡。
地元出身のピアニスト鶴見彩さん。そしてチェロ奏者、シンセサイザー奏者。この4人の組み合わせで、民族音楽と思わしき曲、喜多郎さんのシルクロード、李さんご自身の作品、日本の民謡、クラシック曲のアレンジ…

とても豊かで暖かい、彩りに満ちた響きに満たされた空間に身を任せました。

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これまでに聴き馴染んできたヴァイオリンなどの、どの弦楽器にも似ていない、どの弦楽器よりもマイルドで柔らかくて、滑らかな二胡の音のつながり。素朴で艶やかな響き。絶妙な揺らぎ。ほとんど初めてなはずなのになぜか懐かしい。

そして、腕っききのヴァイオリニストにも劣らない楽器の歌わせっぷり、超絶テク。どの擦弦楽器のそれとも異なる、弓を操る腕の独特の動き。

曲の間の李さんの暖かい語りに、共演者との茶目っ気あるコンタクト。
聴こえてくるもの、見えてくるもの、すべてに惹き込まれてしまいました。

第一部の7曲目で、荒城の月。
メロディだけでちょっと呼吸がはやるくらい切なくなってしまうこの曲を、二胡で。胸がいっぱいになって…眼が潤みました。

休憩を挟んで第二部へ。
柔らかく優しい音世界が激しさも交えて、より濃密に。

そしてラストには、百万石音頭。
金沢の百万石まつり、そして盆踊り。おおきな祭りでもちいさな祭りでも定番の、地元民なら知らないものはないはずのこの曲の演奏が始まるやいなや…

 勝手に涙がこみあげてきてしまった…!

はじめはゆっくりと。それからテンポを上げて。
観客の拍手も一糸乱れず。胸の高鳴り。溢れて溢れて止められない涙。

ロック、ジャズ、ポップ、クラシック…その他諸々。それこそアリーナから大規模体育館、武道館、いろんな規模のホール、ライブハウス、ジャズ喫茶、レコード店、路上まで。

何度も何度もいろんなところでいろんなものを見てきたのに!
こんな感覚になったのはいまだかつて一度もなかったのに!
何を聴いても感激しても、その音楽を、そしてそれを聴いてなにかしら感じている自分を、どこか冷静に見られていたのに!

どれだけ自分の中にこの曲が染み付いていたことかと。

昨年の6月の百万石まつりで、はじめて踊り流しに参加して、みんなと踊って、見知らぬ人たちと笑顔を交わしあって、それが思いのほか楽しかったこと。

独立リーグの地元野球チーム「石川ミリオンスターズ」の有志応援団が、石川の攻撃の始まりに必ずこの曲のはじめの一節をラッパと太鼓で鳴らすこと。

そういうものがみんなみんな混じり混じって、ここで一気に噴き出たようで…ほかのことはなにも考えられなくなってしまいました。

李さんは異国からやってきて20年。
金沢で活動してきて、いいことばかりではなかったであろうにこの地に親しんで、どれだけ忙しくとも、百万石まつりの踊り流しは毎年必ず見物しているということ。

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アンコールでも、内モンゴルの馬が駆ける情景を表現した曲。そして「ふるさと」。
それを選んで演奏してくれた李さんの優しさ。
このコンサートへの思い入れ。
そこに触れて…最後まで涙が止まらず。

すべてが終了して数分。やっと少し落ち着いたところで…

 ハンカチがない!

しょうがないから長袖でガシガシと拭って、平静装ってロビーへ。

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CDいちまい。買わずにはいられず。
数種類あったCDの中から「テネシーワルツ」「グリーンスリーブス」「見上げてごらん夜の星を」が収録されている1枚を選びました。

そして、サイン会の列に並んで、順番がきて…李さんを前にするやいなや。

 人目憚らず嗚咽が…止められない!

なんとか、百万石音頭の演奏で感極まったこと、6月にはじめて踊り流しに参加して楽しく踊ったこと、そのくらいをなんとか伝えて。

お名前はなんと?と言っていただいて、自分の名前を添えて、李さんのサインを、盤面に書いてもらい、一緒にがんばっていきましょうね!…と、暖かい声で言葉と笑顔と握手をいただきました。

ほんの1分かそこらだけだけども、とても気持ちの大きな人だということはすぐにわかりました。
このような方が、生まれ育った金沢にいる。身近で活動しておられる。
そのことがとても嬉しく、心強く感じられたものでした。

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そしてロビーを後にして外に出て、金沢駅前のガラスドームと青空を目に。またそこでこみあげてきてしまいました…今度はなんとかこぼしませんでした。

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なかば放心状態に近い状態のまま、少し離れた駐車場まで歩いて、クルマに乗り込み。運転できるようになるまで、落ち着くまで、しばらく時間がかかりました。
なんとか運転を始めて帰路につく頃には帰宅の予定をとうに過ぎてしまって、途中で家から電話が…

 晩ごはんなんか買ってきて!

一気に現実に引き戻されましたわい!
そりゃねえ…帰ってから買い物行かなきゃって言ってたからねえ。しかたないけどねえ。

いいのだ!これでいいのだ!

2日後、選んだCDのタイトルどおり「朝のひかり」の中でこの文章を書き上げました。そんで…書きなから…数回涙が流れに流れましたわ…。

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知人のちょっとしたお知らせがなかったら、このコンサートも知らずにいた。もちろんこんな体験も感覚も味わうことはなかった。
二胡の魅力を知らないままでいた。

心の底から感謝します。ありがとうございました。

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